感動しない!涙も出ない!茫然自失の裏ホロコースト映画7選!

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アウシュビッツ行 最終列車


ナチスの犬/Suskind(2012)

susukind
オランダにおいてユダヤ人がいかに絶滅収容所へ移送されていったかを描いた映画だが、主人公はヴァルター・ススキンドというユダヤ人対独協力者と、ナチス親衛隊保安諜報部(SD)のオランダ地区司令官フュンフテンSS大尉の二人。

二人は正反対の立場ながら、心を通わせる。というのも、二人ともこんな仕事、本当は嫌で仕方がないからである。罪もない女や子供を無理やり家畜用貨車に乗せて絶滅収容所へ送るなんて仕事は、誰だってやりたくない。

ススキンドは家族を人質に取られてるから協力するしかないし、フュンフテンはSD司令官という立場上、上の命令に背くことは死を意味する。罪悪感に苦しみながらも、彼らは完璧に仕事をこなす、かと思われたが……

実は、ススキンドはフュンフテンに従うふりをしながら、ユダヤ人の救助活動やサボタージュを秘密裏に行っていたのである。フュンフテンはススキンドをすっかり信用していたので、この裏切り行為に激怒。ススキンドを絶滅収容所へ送ってしまう。

ナチスドイツの巨大な官僚機構の前に、加害者にならざるを得なかった二人の姿を描いた映画だ。命の危険さえ顧みず同胞を助けようとしたススキンドと、冷酷な親衛隊員としての職務をまっとうしたフュンフテン。二人は似ているが対称的でもある。

ナチ政権は、本来善良な人間を容赦なく殺戮者へと変えてしまうのだ。

ナチスの犬


炎628/Иди и смотри(1985)

come and see

ホロコーストの初期段階は、民衆によるリンチである。ナチ支配下の東欧の国々では、ドイツ軍の到着と共に民衆によるユダヤ人へのリンチ(ポグロム)が始まった。

そして、次に始まったのがドイツ当局による大量の銃殺である。ナチ親衛隊には対ユダヤ人作戦が専門の特殊部隊(アインザッツグルッペン)があった。

ホロコーストとは、絶滅収容所によってガス殺されることだけを意味するのではない。銃殺は大戦期間中ずっと行われていた処刑法だった。特に駅から離れた田舎に住まうユダヤ人は、鉄道での輸送よりも銃殺が安上がりであった。

この映画は、1943年のベラルーシが舞台。ベラルーシの民は大戦中、独ソ双方からの壮絶な暴力に晒され、人口の4分の1から3分の1が死亡した。ドイツにつけばソ連パルチザンに粛清され、ソ連パルチザンに協力すればSSに村ごと滅ぼされた。この時代ベラルーシで生き延びる難易度はベリーハードだった。

そしてこの時代、ユダヤ人とパルチザンと共産主義者がほぼ同一視されていたことも重要である。全部一緒くたにされて皆殺しにされていた。女も子供もである。